藤原HINOMOTO
京都劇場プロデュース公演
THE ROB CRLTON KYOTO
@京都劇場 2021. 11/5-7
作・演出:村角太洋
出演:村角ダイチ・満腹満・ボブ・マーサム
高阪勝之
主催・製作:京都劇場
企画:京都劇場・THE ROB CARLTON・村角太洋事務所
協力:舞夢プロ・男肉 du Soleil
チラシ・ポスター・DM・パンフレット/ 12P(タブロイド)
サイネージ広告・絵巻・図録 / 40P・チケット
平安中期。宮廷競技として多くの蹴鞠の会、鞠会が開かれていた。
この度、御前鞠会が開催されることになり、御門に最高の蹴鞠を御親覧賜るべく藤原魚連(ふじわらのうおれん)は左大臣より国家最高の鞠足団結成の命を受ける。
鞠足団撰定頭(まりあしかたまりえらびさだめのとう:ヘッドコーチ)の任を受けた魚連は、撰定団(コーチ陣)に鞠足団撰定大輔(まりあしかたまりえらびさだめのおほいすけ:アシスタントコーチ)として橘丹射(たちばなのにいる)、鞠足団撰定権大輔(まりあしかたまりえらびさだめのごんのおほいすけ:アシスタントコーチ)として、源暮雅(みなもとのくれが)、菅平捨武(すがだいらのすてぶ)を招聘し、鞠足団(スコッド)の編成に取り掛かる。
誰が選出され、誰が上鞠(あげまり:キックオフ)を行う第一の上座、すなわち軒(のき:キャプテン)に任命されるのか。
名誉ある一団に選出されるべく宮中に渦巻く思惑に次ぐ思惑。
数多の難局を乗り越え、最高の鞠足団を作るべく奔走する魚連たち。
全公家注目の『鞠足団御披露目之儀(スコッド発表:-The Squad Announcement-)』まであと僅か。
[舞台美術デザイン]箕田英二
[舞台美術制作]宮田重雄(大正工場)
[音楽監修]田鍬智志(京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター)
[照明]海老澤美幸
[音響]森永恭代
[衣裳]山口夏希
[舞台監督]伊達真悟
[演出助手]入江拓郎
[演出部]今井千香(ユリイカ百貨店)
[宣伝美術]ヤマダヒカル(grahikal design)
[スチール]今西徹(maktub) a.k.a ムッシュさん
[トーカツ]酒井和也
[プロデューサー]稲井美佐(京都劇場)
今回は長かった。2ヶ月ほどみっちり携わりました。なかなかにハードな公演でした。
その分、これまでで一番多くのビジュアル展開ができたんじゃないかなと。
一番初めの打ち合わせで、「平安時代に蹴鞠の日本代表を撰定する物語で、タイトルは藤原HINOMOTOです。」と言われた時はもうホントに何をどうしたらいいのか解らなかった。ほんまに笑うしかなかった。過去公演の平安時代の和歌の物語の時もだいぶ頭を悩ましたけれど、今回はその比じゃなかった。何をどうして蹴鞠を撰定するコーチを表現して伝えたらいいのか全然答えが見つからなかった。でも何かこう、爽やかな秋晴れの空に蹴鞠がポーンと軽やかに舞っている絵がずっとあったので、ロブカールトンとしては初の試みである写真をメインに据えてデザインしようと思った。
撮影の予定が合わず急ピッチで仮チラシも作った。京都駅に掲示されるので、ちょっと外国風なデザインにした。DMも仮チラシのビジュアルで展開。
撮影も結構慌ただしかった。急なロケ地の再撰定の場面では、メンバーのこれまでの生きてきた人脈という宝物が大いに役立った。ダイチに感謝。撮影の機会はたった一度きりなので毎回緊張する。撮りこぼしがあれば全ての計画が崩れてくるので、とても神経を使う。撮影のシーン・ポーズなども考えるのだが、当然、撮ラフの時点で脚本なんてないので想像で案を出してボブ&チェケローにチェックしてもらい話し合いながらカット数等を決めていく。
平安時代の物語なので、ロビーの廊下に飾るポスターは絵巻物にしたいと思い、構想をムッシュさんに伝えてインプットしてもらう。蹴鞠が最終的にラグビーのトライになるという変な絵巻ができた。
撮影の際に使用したダイチが作った鞠は精巧にできててびっくりした。どこで本気出してんねんって思った。器用すぎるやろ。
撮影もできた5日後ぐらいには本チラシの入稿だったのでこれも急ピッチでなんとか間に合わす。が、そこから怒涛の製作ラッシュが始まっていく。京都駅に掲示するサイネージ、パンフレット、館内のポスター、絵巻などなど。。。背景に映り込んだ時代にそぐわないものは出来る限りPhotoshopで修正し、表情のアップの写真は肌の処理、靴も舞台用なので粗い部分を修正していき、大量のポーズ写真を切り抜いていく。
絵巻は当初館内の廊下に掲示するだけの予定だったのだが、深夜にいきなりチェケローが「じっくり見てほしいんで、撰定録作りたいです」と言い出したところから本当に作ることになった。撮影シーンの解説をチェケローに送り、それをチェケローが膨らませて整えて、大学の教授に古文に訳してもらうという大掛かりなものになった。古文の言葉も時代を反映した言葉遣いを用いて訳していただいたので、自信を持ってお届けできるものに仕上がっている。
今回、やたらと多いビジュアル展開にしたのは少しでも見た人にわかるようにするためだった。「平安時代の蹴鞠日本代表を撰定する話です」って言われてもよく解らないと思ったから。それにプラスしてボブさんから送られてくる「こんなんがあればな〜」っていう海外のポスターを反映させた結果である。難しいよ。平安時代なのに、最新の海外のポスターとどう融合させたらええねや・・・って。でもまぁなんとかうまい具合にできたんじゃないかなと思う。
パンフレットのLOBBYにはスタッフさんからの言葉ももらい、舞台を見た方はよりその世界観の作り方に入り込めたのではないだろうか。
途中「あ、これ無理なりや」と思ったり、曙から始まりし入稿作業に追われたりもしたけれど、その分いいものが作れたと、今となっては良い思い出です。
毎回したいことをさせてくれる京都劇場のみなさま、突拍子も無いお題を出してくるボブさん、絶えず走り回っているチェケロー、イメージを汲み取って撮影してくれるムッシュさん、ドタバタの撮影なのに対応してくれる役者陣、ずっと衣裳のサポートについてくれているナツキさん、プロの本気を見せてやるからよく見とけっていうオーラ満載の舞台スタッフの皆さん、公演当日まで「こんなん欲しいんで作ってください」っていう案を出してきてくれる裏方の皆さん。その他協力してくれた方々のおかげでここまで走ってこれたと強く感じる公演でした。